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ソーシャルビジネス Archive

日本初のソーシャルビジネスとは

僕が旅をした中で見たのは、ちょっとした日本の技術がクリティカルな問題を解決しているシーンだった。

実はその中で、蚊取り線香が僕の印象に一番残っている。

 

東南アジアを含む熱帯・亜熱帯では、蚊はマラリアやデング熱を媒介する。キンチョーによれば、年間150?270万人がマラリアで死亡している。デング熱やその他の病気を含めると更に数は増えると思う。その予防に貢献しているのが、蚊取り線香だった(もちろん、蚊を追い払うだけだけれども)。

貧困から環境まで様々なテーマで日本からソーシャルビジネスがスタートしてきている。ただ、マイクロクレジットのようにグローバルなインパクトを与えたものは今のところ僕は知らない。

 

だけれども、海外を旅すると、至るところで日本の技術が社会の問題を解決しているシーンを目にする。蚊取り線香もキンチョーの創業者の発明で、日本発でグローバル化した製品の一つだ。他にも、劇的に農産物の生産性を上げたインドの緑の革命では、日本の米の品種改良の結果が反映されているし、環境、水、エネルギーに関する技術がインフラの多くに反映されている。

 

ソーシャルビジネスというと、新規のビジネスモデルが目立っているように思うが、(それを当事者がソーシャルビジネスと呼んでいるかは別として)日本に優位があり、かつ、グローバルな社会問題の解決に既に貢献しているものにもう少し目を向けても良いのではないか。

技術にこだわる必要はないのだけれど、僕自身は技術好きなのもあり(職人さんやら、工場の現場をみると、本当に感激してしまう)、まずは、そういった技術を見つけること、そういった技術を持つ企業に貢献することから始めたいし、将来的に日本の技術を世界を変えるためにもっと使えないだろうか、と思う。

ポカリスエットがアフリカの子供を救う

アフリカの緊急医療の現場では、栄養失調や脱水状態に陥った患者や子供にポカリスエットを渡すことがあるそうだ。

 

軽い症状であれば、それだけで劇的に症状が回復するらしい。浸透圧が調整されており、水分の吸収が早く、必要な栄養素も含まれている。特にアフリカであれば、安全な水のインフラも整っていないことも多いだろうし、手間のかからない治療の手段として重宝されているらしい。

 

この話自体は国際協力業界の友人から聞いたのだが、結果として、不思議な場面で日本の技術が役に立っていることも多いと思う。

蚊取り線香はマラリアから身を守る為に欠かせない道具だし、味の素なんてのも、見方を変えれば、主婦を解放するツールの一つかもしれない。

 

いまのところ、結果としてのソーシャルビジネスとして成立しているものも多いのではないかと思うが、意図して、それをビジネスにしていくのもいいな、と思う。

大塚製薬が新規参入したいエリアで、医療用途のポカリスエットを無償配布するだけで、相当なPR効果も有ると思う。何より、民衆を味方にできるビジネスは強い。

ソーシャルビジネスに向うことになった原点

学生時代の僕は一過性のボランティアにもあまり惹きつけられず、かといってベンチャー企業や外資系企業で働くということも魅力を感じていなかった。

たまたま、マニアックなIT系ウェブマガジンを読んでいた時に、ソーシャルビジネスというコンセプトに出会うことになった。

ホットワイアードの問題提起

 ここ数年を振り返ってみると、ネットベンチャー・ブームは、起業の可能性を示したが、金銭のみを至上の価値とする虚しさを教えた。
 一方では、一般化したボランティア活動は、新しいやりがいを感じさせたが、継続することの難しさを考えさせた。
 不況だけれども、モノは溢れかえっている今の社会で、私たちは、何のために、どう働くのか・・。
Hotwired

ソーシャル・アントレプレナーの全国大会@アメリカ

 2001年11月末、米国シアトルでソーシャル・アントレプレナーの全国大会開催された。
 ここに集まるのは、みずから、「ソーシャル・アントレプレナーシップ」(社会に対する起業家精神)が、今後の社会変革を作り出す重要なキーだと考える、各分野のプロフェッショナルたちである。
 会場では、大企業経験者や、ベンチャー企業経験者、MBAホルダーなど、多少なりとも、ビジネスマネジメントの経験をもつ参加者が少なくなかった。彼らの多くは、すでに、社会ミッションを追うノンプロフィットや、社会性の強いビジネスに転じた、フィールドの実務家である。
 自分の感じる動機を実現することと、それを追うために、マネジメントをテコに、経済性を維持すること。かれら新しい世代は、それを感覚的にとらえ、「こっちの方がエキサイティングだから」と、笑って言う。
Hotwired

当時の僕は、この記事に魅せられてしまった。当初は怪しいことをやっている人もいるのだな、と思っていた。だけれども、約一年後に、筆者の井上さんや宮城さんに出会い、段々とソーシャルビジネスの方に惹きつけられていった。

「ソーシャルビジネス」というキーワードは決まったが、ビジネスモデルや自分の立ち位置が決まるまでは、長い時間がかかった。大学時代も入れると、約8年位、悶々と過ごしてきたことになる。

大学時代以来、ベンチャービジネスとソーシャルビジネスの両方に関わってきた。いま、率直に思うのは、ソーシャルビジネスは未踏の分野あるということだ。

本当に難しいと思う。だけれども、それを乗り越えれれば、多くのことができるのだと思う。

売春婦による売春婦のための銀行

インドのムンバイにある同国最大の風俗街「Kamathipura」には、売春婦らによって運営される銀行がある。同行は、風俗経営者への負債による貧困から売春婦たちを守るほか、売春婦たちが、家の建設や子どもの教育のために貯金するなどで、大成功を収めている。

売春婦の多くは、出生証明書や居住に関する書類を所持していないため、通常の銀行で口座を開設したり、クレジットカードを作ることがほぼ不可能となっている。 

同行は、売春で収入を得なくなった際にも当面は貯金があるようにしたいと思う少数の売春婦らによってスタートした。

過去2カ月間で、毎日1ドル(約112円)を銀行に預けてきたという中年の女性は「年を取ってきているが、村に家を建てるためにまだ貯金することができる」と話した。

インドでは売春は合法。奉仕団体などによると、同国には推定200万人前後の売春婦がおり、その多くが貧困による人身売買などで強制的に風俗業界に入っている。

同行では、家族の病気や結婚といった緊急時の融資も行っているという。

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インドの首都コルカタ市内最大の歓楽街「ソナガチ」にある売春婦のための銀行。5千万ルピー(約1億4000万円)を運用して、西ベンガル州全体にあと12支店を開業する予定だという。

1995年に売春婦のRekha Chatterjieさんが設立。売春婦たちでも貯金でき、低利子でのマイクロローンが受けられる銀行を作ることで、彼女たちが金融業者や売春あっせん業者から逃れられるようにした。

銀行の職員は信頼を得るために、顧客の家に直接訪問することもある。預金の引き出しや、ローンを組む際でも身分証明書は必要なく、字が書けなくても問題はない。全ての銀行取引は指紋を使って行われる。顧客数は8500人、行員数は42人。同州の売春婦たちの権利向上を目指す。

http://gphoto.exblog.jp/

「社会を変える」ことに伴うリスクや覚悟

先日、数年間お世話になっている、ETIC.でアキュメンファンドというソーシャルベンチャーキャピタルの代表のジャクリーンさんの講演を聞く機会に恵まれました。僕の質問に、彼女は、かなしそうな、複雑な顔をしながら、答えてくれました。

 

彼女は、ルワンダの虐殺で四人のスタッフの内、一人を失い、一人が虐殺側に加わるという惨事に出会ったことを話してくれました。しかし、彼女は、事業をあきらめなかった。悩み抜くさなかに、ルアンダで展開していたマイクロクレジット事業の顧客に励まされたから。虐殺があったにもかかわらず、仕組みは残り、受益者は自立していた。それが、今も活動を続ける理由だ、と。

 

現在は、危険度に応じて、○○分置きに安全確認をするとか、夜間は外出不可にするとか、いざという時の医療体制も整備する、などをルール化しているとのことでした。

 

「社会を変える」ということは、その過程で発生するリスクを引き受けるという事でもある。というのを改めて実感しました。我々も、勝負どころでは、入念にリスクマネジメントをせねば、と感じています。

僕の考えるソーシャルビジネスとは

キンチョーの蚊取り線香は、世界をマラリアの危機から救い、多大な雇用を創出し、収益をあげているし、住友化学の蚊帳も同様だ。

僕は非営利の事業も、営利の事業も中に入ってやったり、コンサルタントとして支援してきた。その中には、いわゆる「社会の問題の解決の為にビジネスのアプローチを使う」という、ソーシャルビジネスも多かったように思う。

非営利の事業も好きだし、支援してきた起業家達も大好きだ。ただ、非営利の事業は性に合わなかった。僕が今まで学んできた「ビジネス」と違う感覚を覚えたからだ。

 

僕は、顧客に貢献して、お金をもらえずに、何がビジネスなのだろうか?と思ってしまうのだ。もちろん、顧客が存在しにくい市場は数多くある。子供の問題や環境の問題は、当事者が資本を持たないことがあまりにも多い。

社会を変えることを志向して、顧客に貢献できないならば、ボランティア主導の市民運動でいいじゃないかと思う。顧客に貢献して、社会を変えるから、ソーシャルビジネスじゃないか。

無理に、社会性と事業性を両立させる必要なんてなかったし、事業化を目指すなら先にビジネスをやればいい。その先に、両立できる可能性はあるかもしれない。ただ、未熟な僕たちにとって、最初から両方を、というのは欲張りすぎた。

 

僕は思う。まずはしっかりした事業をやろう。その結果として、社会が変わるようなシナリオを持とう。起業してみたけれども、顧客にずばぬけたサービスを提供するだけでもいかに難しいことか。

冷静に考えると、社会を変えることを志向する起業家にとってこの選択はとてつもない重圧になっている。ビジネスを成功させるだけでも難しいのに、それに加えて、社会を変えるなんて。

ただ事実として、日本では、寄付市場なんて成立していない。その過程で、当事者ではなく雇用者がリスクを取るのは割にはあわないと思う。

 

日本発のスケーラブル(拡大可能)なソーシャルビジネスはまだまだ少ないと思う。我々がそうなるかは、我々次第だけれども、そうなることを目指して、挑戦していきたいと思う。

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