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闇の子供たち

生々しい描写の本だった。被害の生々しさだけではなく、人身売買組織からNGOまで様々な立場の当事者の生き方を描いている。

 

昔、僕自身が旅する中で、たまたま麻薬の密売人とか、人身売買に関係してそうな人と話したことがある。彼等の一人は、子供に欧米の教育を受けさせたいから、と言っていた。

舞台になるチェンライやチェンマイは旅したことのある街でもあった。チェンライは子供を連れて歩く欧米人が多かった。チェンマイは宿のノートに「一緒に泊まっていた人が帰ってこなかった」と書いてあったことを覚えている。

 

「闇の子供たち」の印象に残ったコメント

人身売買組織のボス(ソムキャット)

そう焦るな。ボランティアの連中に何ができる。何もできゃあせんよ。一人か二人の子供を助けるという名目で騒いでいるが、われわれのような組織の勢力争い、宗教戦争、資源の争奪、国益などの問題を解決しない限り、この問題は解決できやしない。連中はそのことをわかっていない。

カンボジアとタイの国境には五十万人の難民がいる。メアリー・クリスとかいうアメリカ女が言っていたが、世界には二千万人いるとも三千万人もいるとも言われているストリート・チルドレンを誰が助けられる。誰も助けることはできない。連中はわしらを非難しているが、わしらがやらなければ誰かがやっているだけの話だ。みんなが生きるためにやっている。そこには善も悪もない。

子供を売ったスラムの父親(ナワミン)

わしらみたいな人間に、どんな将来があるんだ。このクロントイ・スラムには十万人が住んでる。みんな下の下の下の生活をしてる。野良犬の方がよっぽどましだ。食う物がなくて飢えに耐えられないときは泥に這ってる蟹を取って食べる。わしらの糞やゴミを食べてる蟹だ。その蟹を食べるとてきめん下痢になる。二、三日七転八倒して苦しむが、それでも食べずにいられないんだ。

このクロントイ・スラムから脱け出せた奴が何人いる。このスラムから脱け出せた奴をわしはいままで聞いたこともなければ見たこともない。出口はどこにもないんだ。死んで初めて出れるんだ。

ある人さらいの子供時代(チューン)

食べ物にありつけいない日が三日、四日と続き、しだいに体力が衰えてくると同時に思考力も減退して歩く力もなくなってきた。胃袋がじわじわと締め付けてきて呼吸が困難になり、意識が朦朧として街がゆらゆらと揺れていた。

道場に寝そべっていたチューンの目が動いている何かを捉えた。薄暗い溝にゴキブリが這っていたのだ。チューンはゴキブリの動きをじっと観察し、近づいてきた一匹を足で踏み潰した。踏み潰されたゴキブリの腹から膿のような白いはらわたがはみだした。そのゴキブリをチューンは食べた。それからチューンは目を皿のようにしてゴキブリを探し、一晩で二十匹以上のゴキブリを食べて飢えをしのいだ。しかし、明け方、胃に激痛が走り、チューンは七転八倒した。食べたゴキブリの持っている菌に冒されたのだ。

あるNGOのリーダー(メアリー・クリス)

未来を担うのは子供達ですが、その子供達の置かれた惨憺たる状況を放置しているのです。それはこの国の未来に対する無責任きわまりない怠慢であり、犯罪です。また西側先進諸国の責任も重大です。なぜなら、富める国から貧しい国へやってきて、金の力で子供達を犯しているからです。

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